東京電力は8月24日、福島第1原発事故で発生した汚染水の海洋放出を開始した。
政府や東電はALPS(多核種除去設備)を通過した水を処理水と呼び、安全性をアピールする。トリチウム以外の放射性物質を規制基準値以下まで浄化していることや、トリチウムは正常に運転している原発からも冷却の過程で発生していて、他国の原発も海に放出しているというのが政府・東電側の主張だ。
しかし、ALPSではトリチウム以外にも12の核種が除去しきれないことが分かっている。また、通常運転されている原発から発生する冷却水と、原発事故で溶けだした核燃料デブリに直接触れた汚染水を同列に扱えるのか。
また、政府は廃炉のロードマップに合わせて2051年までには海洋放出を完了すると説明するが、今も汚染水は日々発生し続けていることに加え、廃炉が40年で完了するメドはまったく立っていない。
有識者会議で他の多くの処理方法が提案されていながら、なぜ政府は最も環境負荷が高く周辺国への影響も大きい海洋放出を選んだのか。その経緯や安全性、環境や人体への影響などを検証する。