2007年8月10日
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見えてきた裁判員制度の危うい実態

保坂展人氏(衆議院議員)
マル激トーク・オン・ディマンド 第332回

 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度の開始を2年後に控え、その具体的な運用内容がようやく明らかになってきた。裁判員の導入を謳った裁判員法は04年の国会で、全会一致で可決されているが、その具体的な内容は、施行までの5年間に最高裁判所諮問委員会で審議されることとされていた。しかし、裁判員の日当から、裁判員選任の方法や評議の進め方など具体的な運用が決定されるにつれて、裁判員制度の新たな問題点が顕わになってきている。
 司法の問題を国会で追及してきた衆議院議員の保坂展人氏は、裁判員候補となった人の思想信条にまで踏み込むような憲法違反をうかがわせる決定が、裁判所と検察庁、弁護士会の法曹三者のごく一部の手で次々と進められていると憤る。
 例えば、裁判員の選任の際に、検察側も弁護側も裁判長を通じて候補者に質問をすることが認められている。もともとは公正な裁判を期するために、原告や被告の知人や利害関係者などを排除することを想定しての制度だが、そこでの質問には、「警察を信用するか、しないか」や「死刑制度に賛成か、反対か」などの、実質的に裁判員となる人の思想信条にまで踏み込むような質問も含まれることが、最高裁が作成した想定問答集で明らかになっている。その結果、「不公平な裁判をする恐れがある」と判断されれば、その人は裁判員から除外される。保坂氏は、「裁判の公平性を担保する」という大義名分のもと、「国家権力の前で、市民の信条や内面を告白させられる」ばかりか、警察を信じ、死刑に賛成の人だけが裁判員として裁判に参加できるような仕組みになっていると指摘する。
 そもそも司法制度改革の議論が始まった当初は、欧米の陪審員制度の導入が想定されていた。しかし、評決権を死守したい司法当局の意向で、市民の権限は裁判員制度という形で大幅に縮小された。そして今、裁判員制度の具体的な運用が明らかになるにつれて、鳴り物入りで始まる裁判員制度が、実際は現状維持色がさらに強いものであることがより鮮明になってきている。
 更に、05年に始まった公判前整理手続きや、裁判員制度の決定の時点では想定されていなかった被害者参加制度などと組み合わさった時、裁判員制度にどのような問題が生じるかについては、まだ未知数の部分が多い。
泣いても笑っても2年後にはスタートする裁判員制度について、新たに明らかになった問題点とその対策を、保坂氏とともに考えた。

保坂 展人ほさか のぶと
(衆議院議員)
1955年宮城県生まれ。73年都立新宿高校中退。教育ジャーナリストを経て、96年、社民党から衆院初当選(東京比例区)。03年に落選の後、05年再選。著書に『学校だけが人生じゃない』、共著に『共謀罪とはなにか』、『官の錬金術』など。

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