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2019年10月18日
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介護保険は、2040年問題に対応できるか

結城康博氏(淑徳大学総合福祉学部教授)
マル激トーク・オン・ディマンド・プラス 第10回(2019年10月18日)

 高齢者人口がピークを迎える2040年。団塊の世代が85歳を超え、半数は要介護状態となることが予想される。今の介護保険は、それに対応できるのか。

 2000年に導入された介護保険は、介護の社会化をうたい文句に、40歳以上から保険料を徴収して介護サービスを提供するはずだった。しかし給付の増加に伴い、介護保険の総費用はこの20年近くで当初の3倍の11兆7,000億円に、保険料も全国平均で2000年当時の3,000円弱から今は6,000円近くになった。

 政府は制度を持続させるために、給付抑制につながる改正を何度も繰り返してきており、また、来年の通常国会に向けて介護保険改正の議論が始まっている。

 改正の内容として議論の俎上にあがっているのが、利用者負担を1割から2割にすることと、要介護1と2の“軽度者”の生活援助サービスを保険給付からはずすことだ。しかし、いずれも利用控えを生じさせて、かえって重度者を増やすことになり結果的には介護費用を増やすことにつながることが懸念される。淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博氏は、こうした改正は、目先の対応に過ぎず長期スパンを見据えた改革になっていないと指摘する。

 財源の問題もさることながら、さらに問題なのは介護人材の不足。厚労省は2025年度末までに約55万人を新たに確保する必要があると試算しており、年間6万人ずつ増やさなくてはならない。この数字自体はやや過大に見積もられている可能性があるが、生産人口が減り高齢者人口が4,000万人となる2040年には、今のままでは介護者が絶対的に足りなくなり“介護難民”が続出するのは目に見えていると結城氏は強調する。

 財源を思い切って投入し介護人材の給与を引き上げることや、産業政策として人材を介護分野に誘導することなど、社会保障だけではなくもっと幅広い議論が必要となる。いずれにしろある程度の負担増は覚悟しなくてはならない状況であり、2040年になって介護が必要なときになって気づいても遅すぎるのだ。

 国会の代表質問で介護保険改正について質した立憲民主党代表の枝野氏に対し、安倍首相は10月7日の衆議院本会議で、「現時点で検討がなされているわけではない」と答弁したが、制度の改正はすでに社会保障審議会や財政制度審議会で議論が始まっている。審議会が審議している段階であり、まだ答申が出たわけではないのというのが、首相答弁の「検討していない」の意味なのかもしれないが、来年の通常国会に改正案が提出された後では、十分な議論がないまま法案が通過してしまう可能性もある。全世代型の社会保障制度を議論するというなら、高齢者に偏っている財源を若者にあてるというだけの発想ではなく、もっと抜本的なことを考えるべきであり、現状をきちんと理解して先の見通しも含めて議論するなら今しかないのではないかと、結城氏は語る。

 どういう高齢社会が望ましいか、介護を自分の問題としてとらえて今何を考えるべきなのか、介護の現場に詳しくケアマネージャーや介護福祉士の資格ももつ結城康博氏とジャーナリストの迫田朋子が議論した。

 
結城 康博(ゆうき やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授
1969年北海道生まれ。92年淑徳大学社会福祉学部卒業。2004年法政大学大学院政治学研究科博士後期課程修了。新宿区地域包括支援センターなどを経て、07年より現職。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員。著書に『介護職がいなくなる ケアの現場で何が起きているのか』など。

 

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