民主党は本当に生まれ変わったのか
立憲民主党代表
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民進党の代表選挙が公示された。
立候補した蓮舫参院議員、前原誠司衆院議員、玉木雄一郎衆院議員の3候補は、9月2日に行われた討論会で、「党の立て直し」を共通認識としてたうえで、野党共闘やTPPに対する姿勢やアベノミクスへの評価などの政策での違いをアピールした。
台湾人の父を持つ女性候補者の蓮舫氏や、元財務官僚で当選3回の若手である玉木氏が、若手の自分らが代表になれば民進党が変わったことが証明できるとアピールしたほか、民主党政権失敗の「戦犯」を自認する前原氏は、失敗を認めた上で土下座して出直すと語るなど、それぞれの立場から代表選への抱負を語った。
候補者が出揃い、9月15日の投開票に向けて論戦を繰り広げることになるが、どうも世間の目は民進党に向いていない。それは一重に、民進党が有権者から、再び政権を担える政党に生まれ変わったとは思われていないからだ。
過去3年あまり選挙に負け続けてきた旧民主党、そして民進党では、選挙に負けるたびに解党的出直しの必要性が叫ばれてきた。しかし、実際に解党的な出直しが断行された様子は一向に見えてこない。酷な見方かもしれないが、ともすれば二大政党制を前提とする現在の選挙制度の下で、常勝ならぬ常敗野党としての地位に安住しているかのようにさえ見える。
確かに今回の代表選は過去の民主党の代表選挙と比べると、新しい顔ぶれが目立ち、清新な印象が際立つ。鳩菅、小沢、岡田の時代から時計の針が大きく進んだ感は強い。3人の中では古顔に属する前原氏でさえ、まだ53歳だ。蓮舫氏は48歳、玉木氏は47歳だ。
3候補はいずれも政策に通じているし、弁も立つ。しかし、どんなに素晴らしい政策を訴えても、それを信用してもらえなかったり、そもそも話を聞いてもらえなければ、何の意味もない。とすると民進党代表選の真の争点は、民進党が再び真に受けてもらえる政党になるために、新代表は何をするつもりなのかにかかっている。
2日の記者会見でも、代表3候補は口を揃えて、民進党が安倍政権の対立勢力になれていないことへの悔しさを訴えた。しかし、では民進党が再び自民党のオルタナティブになるために何が必要で、自分が代表になった時、それをいかに実現するかを明確に答えられた候補は、残念ながらいなかった。
8年前の総選挙で日本は戦後初めて、選挙の投票による政権交代を実現させた。これは日本の民主主義にとっては歴史に残る快挙であり、また賭けでもあった。これまで日本という国の舵取りを自民党一党に任せてきた日本の有権者が、初めて全く別の勢力に日本を託した。その裏にはとても言葉では言い表せないほどの大きな期待と、そして不安があった。
日本の有権者は、そのあまりにも大きな期待が裏切られた時の心の傷から回復できていない。民進党は有権者のその傷を癒し、日本の民主主義や政党政治に対する自信を回復させる、とてつもなく重い責任がある。自分たちが再び信用されるように努力するなどと言っているだけではまったく不十分なのだ。
その意味で民進党にとって致命的なのは、旧民主党政権の失敗の総括が不十分なことだ。政党名を変えただけで過去の失敗が洗い流されるわけではない。失敗を厳しく総括した上で、その失敗が起きた原因や構造を改めて問い直し、その背後にあるガバナンスの仕組みや組合依存体質といった党の構造を根本から変革する。それができて初めて解党的出直しとなる。
この代表選挙で、少なくともその認識と方向性を見せることができるかどうか。それは誰が今回の代表選に勝つかなどという枝葉末節よりも、遥かに大きな、日本の民主主義の根幹に関わる問題だ。それが今、民進党に問われている。
政権から転落して3年経った今も、まだ民進党が有権者の信頼を回復できない理由を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。