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今週のNコメではまず、マル激本編で九州大学の吉岡斉教授と川内原発再稼働に見る日本という国のガバナンスの問題点を議論したことを受けて、日本の統治権力が戦後70年経っても依然乗り越えることができない、「アメリカの意向」と呼ばれる虚構の意味を議論した。
最近では原発にしても然り。安保法制にしてもしかり。また、過去には大規模店舗法の改正や牛肉オレンジの自由化、金融ビッグバンなど、日本が国内世論の反対を押し切ってまで大きな政策変更を行う際には、決まってその背後に「アメリカの意向」というものが存在する。
それはあたかも、「アメリカの意向」という錦の御旗さえ立てられれば、日本ではどんなに国益に反した政策でも正当化できることを示しているようだ。
そこに存在する日本の戦後レジームの実態とは何なのかを議論した。
次に、アイゼンハワー元大統領が日本への原爆投下に強く反対していたことが、1963年に出版された回顧録の中で明らかにされていたことがわかった。大統領退任後に書かれた回顧録「Mandate for Change」の中でアイゼンハワー氏は、1945年の連合軍司令官の時、スティムソン陸軍長官から日本への原爆投下の意向を知らされ、「日本との戦争ではすでに勝敗は決している」、「日本はメンツが保てる形で降伏する機会を模索しているだけだ」などの理由からこれに強く反対し、原爆投下によって国際世論からアメリカが非人道的な国として指弾されることを懸念したとしている。
8月8日のNコメでもご紹介したが、アメリカで広島、長崎への原爆の投下が正当な行為だったと考えている市民の割合が、徐々に減ってきているとはいえ、いまだに過半数を超えているという現実がある。しかし、1963年に出版され当時はベストセラーにまでなった本書の記述は、大統領まで務めたアイゼンハワー氏が、今から50年以上も前に、アメリカによる原爆投下の正当性に疑問符をつける発言を公然と行っていたことになり、あらためて注目に値する。
そのほか、年金情報流出問題の調査報告書から見えてくる政府のガバナンスの問題点などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。