ロシアのウクライナ侵攻と世界の反応に対するイスラム的視点
イブン・ハルドゥーン大学(トルコ)客員教授・イスラム学者
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1960年岡山県生まれ。84年東京大学文学部卒業。86年同大学院人文科学研究科修士課程修了。92年カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了。学術博士(哲学)。在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、山口大学助教授などを経て2003年より同志社大学神学部教授。11年同大学退職。14年より現職。著書に『イスラームのロジック―アッラーフから原理主義まで』、『ビンラディンの論理』、共著に『一神教と国家イスラーム、キリスト教、ユダヤ教』など。
イラクやシリアで勢力を拡大している「イスラム国」に参加する計画をしていた北海道大学の学生が、「私戦予備・陰謀罪」の容疑で警視庁公安部から家宅捜索や任意の事情聴取を受けていた事件で、学生をイスラム国に紹介したとして家宅捜索を受けていたイスラム学者で同志社大学客員教授の中田考氏が、10月10日、ビデオニュース・ドットコムの番組に出演し、学生をイスラム国にリクルートしていたとする報道を否定した。
中田氏は北大生を戦闘員としてイスラム国に紹介したと報じられていることについて、「イスラム教の考えではイスラムの国に行く者は、女性や子どもを除いてすべて戦闘員として行くことになっている。そういう意味だ」と語り、学生が実際に武器を手に戦うことを想定していたわけではないとの認識を示した。
中田氏はまた、10月7日に自宅が家宅捜索を受けたことを認めた上で、「捜索中に捜査官と雑談をしたものが調書となった」と、「事情聴取」の実態を明かした。現時点では家宅捜索でパソコンなどが押収されているものの、捜査はあくまで任意で行われているが、今後逮捕される可能性なども想定し、弁護士に相談をしているという。
さらに中田氏は、事件が明るみに出て以降、複数の報道機関の取材を受けたが、ことごとく真意が歪められて報道されたため、弁護士からの助言もあり、今はメディアへの協力を控えていると語った。
家宅捜索の直前の10月3日、中田氏はビデオニュース・ドットコムの番組に出演し、イスラム国の主張の中身や、イスラム教の教えとイスラム国の主張の相違点などについて解説していた。その番組の中で中田氏は、旧知の関係にあるイスラム国幹部からの依頼で、イスラム国に拘束されている湯川遥菜さんの裁判の通訳をする予定で9月上旬にシリア入りしたが、米軍によるイスラム国への空爆が始まったために裁判は行われなかったと話していた。